訂正(2026年7月25日)
公開時に掲載していた被害額・認知件数および公表日は、警察庁の一次資料と一致していませんでした。同庁公表の広報資料「令和8年5月末における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)」に基づき、数値と公表日を全面的に修正しました。
公表の概要
警察庁は2026年7月3日、令和8年(2026年)1月〜5月末時点の特殊詐欺の認知・検挙状況(暫定値)を公表しました。
2026年の最初の5カ月間で、認知件数は18,067件(前年同期比+2,826件・+18.5%)、被害額は1,514.7億円(同+547.3億円・+56.6%)に達しました。件数の伸びが約2割にとどまる一方で被害額が6割近く増えており、1件あたりの被害が高額化していることが読み取れます。
令和8年からの統計区分の変更(比較時の注意)
警察庁は令和8年(2026年)から統計の整理方法を変更し、次の2点を明示しています。
- 被害が急増している「ニセ警察詐欺」を独立した手口として位置付けた
- SNS型投資詐欺・SNS型ロマンス詐欺を特殊詐欺の一手口として位置付け、全体を「特殊詐欺」と呼称することにした
したがって本統計の「特殊詐欺」1,514.7億円は、SNS型投資詐欺・SNS型ロマンス詐欺を含んだ数字です。令和7年以前の「特殊詐欺」(SNS型を含まない集計)とそのまま比較すると誤読につながるため、当サイトでは同庁が併記している前年同期比の数値をそのまま用いています。
手口別の内訳(令和8年1〜5月末・暫定値)
| 手口 | 認知件数 | 被害額 | 被害額 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 特殊詐欺(全体) | 18,067件 | 1,514.7億円 | +547.3億円(+56.6%) |
| SNS型投資詐欺 | 5,099件 | 700.4億円 | +426.3億円(+155.5%) |
| ニセ警察詐欺 | 3,667件 | 403.2億円 | +78.5億円(+24.2%) |
| SNS型ロマンス詐欺 | 2,056件 | 202.0億円 | +7.7億円(+4.0%) |
| 架空料金請求詐欺 | 2,519件 | 61.5億円 | +2.3億円(+4.0%) |
| オレオレ詐欺 | 1,472件 | 54.6億円 | −0.4億円(−0.6%) |
| 金融商品詐欺(未公開株・社債等) | 145件 | 17.2億円 | +10.4億円(+152.3%) |
| 交際あっせん詐欺 | 284件 | 10.1億円 | +5.9億円(+138.8%) |
被害額が最も大きく、前年同期比の伸びも最も大きいのがSNS型投資詐欺です。700.4億円は前年同期(274.1億円)の約2.6倍にあたり、特殊詐欺全体の被害額の約46%を占めます(当サイトによる単純計算)。1件あたりの平均被害額は約1,374万円(700.4億円÷5,099件・単純計算)で、他の手口を大きく上回ります。
月次の推移 — 5月単月は減速、ただし前年同月は上回る
| 月(令和8年) | 認知件数 | 被害額 |
|---|---|---|
| 1月 | 3,448件 | 317.0億円 |
| 2月 | 3,403件 | 276.7億円 |
| 3月 | 4,242件 | 344.2億円 |
| 4月 | 3,805件 | 322.0億円 |
| 5月 | 3,169件 | 254.8億円 |
5月単月の被害額254.8億円は令和8年に入って最も低い水準ですが、前年同月(令和7年5月)の225.4億円を上回っています。単月の減少をもって被害が収束に向かっていると判断できる段階ではありません。
検挙状況 — 摘発は急増、それでも認知の伸びに追いつかない
- 特殊詐欺全体の検挙:3,051件(前年同期比+21.1%)・1,091人(同+21.6%)
- SNS型投資詐欺の検挙:301件(同+262.7%)・157人(同+336.1%)
SNS型投資詐欺の検挙は件数・人員ともに3倍以上に増えていますが、検挙301件は認知5,099件の約6%(単純計算)にとどまります。加害者の多くが国外拠点から関与しているとみられ、被害の未然防止に頼らざるを得ない状況が続いています。
前年同期比で急増した手口・減少した手口
SNS型投資詐欺以外で伸び率が大きいのは、当室の相談テーマと重なる次の2手口です。
- 金融商品詐欺(未公開株・社債・ファンド型):145件(+141.7%)・17.2億円(+152.3%)
- 交際あっせん詐欺:284件(+120.2%)・10.1億円(+138.8%)
一方、従来型の手口は減少しています。預貯金詐欺は386件(−49.4%)・3.6億円(−56.2%)、還付金詐欺は1,146件(−24.9%)・25.5億円(−13.8%)、融資保証金詐欺は139件(−28.7%)・0.8億円(−54.6%)でした。金銭の受け渡し方法が電話・カード回収型からSNS・送金・暗号資産型へ移っていることを示す動きです。
家庭でできる対策
✓ SNSで知り合った人の「投資話」は全て詐欺と判断する
実在の著名人でも偽アカウントの可能性が高いです。必ず公式ウェブサイトから情報を確認してください。
✓ 金融庁の登録済み業者リストで必ず確認
金融庁HP「登録金融機関・仲介者検索」 で業者名を検索。登録されていない業者は全て違法です。
✓ 「元本保証 + 月利1%以上」は詐欺
預金以外で元本保証を謳う投資商品は、日本の金融商品取引法で違法です。この文言を見た時点で詐欺と判断してください。
✓ 出金時の追加送金要求は詐欺の確定シグナル
「利益を受け取るには税金が必要」「手数料を先払いしてください」は全て詐欺です。正規の投資商品でこのような要求はありません。
相談窓口
- 消費者ホットライン:188(24時間)
- 警察相談専用:#9110(24時間)
- 金融庁相談室:0570-016811(平日10〜17時)
- 証券・金融商品あっせん相談センター(FINMAC):0120-64-5005
📚 出典・参考情報
- 警察庁 広報資料「令和8年5月末における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)」(PDF) — 本記事の統計数値の出典
- 警察庁 特殊詐欺認知・検挙状況等について
- 警察庁 SOS47(特殊詐欺対策ページ)
- 金融庁 免許・許可・登録等を受けている業者一覧
本記事の統計数値はすべて上記警察庁広報資料の暫定値です。「単純計算」と付した比率・平均額は当室が公表値から算出したもので、警察庁の公表値ではありません。暫定値は今後の確定値公表に伴い変動します。