事件の概要
警視庁神田署は2026年7月14日、詐欺容疑で台湾籍の女2人を逮捕しました。2025年10月に都内の80代女性から現金500万円を受け取った疑いで、同女性の被害総額は計9,500万円にのぼります。容疑者の氏名・年齢は、当室が本文を確認できた報道には記載がなく未確認です。
発覚の端緒は家族が異変に気付いて警察に相談したことでした。被害者本人は詐欺だと認識していませんでした。
手口の流れ
- 著名な経済評論家になりすましたAI生成動画をSNSで配信する
- 「AIを活用した投資で600%の利益を保証する」とうたう
- 関心を示した人をLINEグループへ誘導し、やりとりを重ねて信頼させる
- 実在する米国の投資ファンドへの投資名目で、現金を直接手渡させる
実在するファンドの名前を使う点が特徴です。ファンド名を検索すれば実際に存在が確認できるため、被害者は「調べたら実在した」と受け止めます。しかし、そのファンドが日本国内で勧誘を行っているか、勧誘者が金融商品取引業の登録を受けているかは別の問題です。
受け子は「日本で現金を受け取るだけ」と言われて渡航していた
逮捕された2人は次のように供述しています。
- 「台湾で高収入の求人に応募した。『日本で現金を受け取るだけ』と説明され、日本へ渡航した」
- 「日本旅行を兼ねた仕事がある。航空券や宿泊費はこちらで負担すると誘われた」
台湾側の指示役・組織については捜査が続いています。現金を受け取る役割だけを短期滞在の外国人に担わせる形態は、組織の中心にたどり着きにくくする構造になっています。
「動画だから本人」とは判断できない
従来のなりすまし広告は、著名人の写真に架空の発言を添えた静止画が主流でした。生成AIによって顔と声を再現した動画が使われるようになり、静止画より格段に見分けにくくなっています。加えて、動画は「本人が話している」という印象を強く与えます。
確認できるのは、動画の真偽ではなく誘導先の正体です。
✓ 著名人が個別のLINEグループに投資を誘うことはない
実在の投資運用業者・金融機関が、SNS広告からLINEグループへ個人を集めて投資を募る形態はとりません。誘導先がLINEである時点で応じないことが最も確実な防衛策です。
✓ 「利益を保証」「◯◯%を保証」は法律上あり得ない
預金等を除き、元本や利回りを保証する投資商品は日本では販売できません。600%であれ年利10%であれ、保証という言葉が出た時点で詐欺と判断してください。
✓ 現金の手渡し・宅配便での送付を求められたら詐欺
正規の金融商品取引で、担当者が自宅や路上で現金を受け取ることはありません。金地金・金塊の手渡しを求める手口も同時期に多発しています。
制度側の動き — なりすまし広告の削除要請が枠組みに入る
なりすまし型の勧誘に対しては、制度側の対応も進んでいます。警察庁は2026年7月2日、インターネット・ホットラインセンター(IHC)の運用指針の改定案を公表し、成り済まし広告を削除要請の対象に追加する方針を示しました。総務省も情報流通プラットフォーム対処法のガイドラインを2026年8月に改定し、著名人になりすました投資勧誘を違反対象に追加する予定です。
ただし削除は事後的な対応であり、広告が表示されている期間の被害を防ぐものではありません。
相談窓口
- 消費者ホットライン:188(24時間)
- 警察相談専用:#9110(24時間)
- 金融庁相談室:0570-016811(平日10〜17時)
- 証券・金融商品あっせん相談センター(FINMAC):0120-64-5005
📚 出典・参考情報
- 日本経済新聞(2026年7月14日):逮捕・手口の骨格
- 台北ジャピオン(2026年7月22日):被害総額・供述内容
- 金融庁 免許・許可・登録等を受けている業者一覧
容疑者の氏名・年齢は当室が本文を確認できた報道に記載がないため掲載していません。他媒体が異なる被害額を報じているとの情報がありますが、本文を確認できなかったため採用していません。